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【2026年版】大阪・中崎町の古民家カフェガイド|路地が曲がっているのは、あぜ道と運河だったから

公開: 2026/08/20 更新: 2026/08/21
【2026年版】大阪・中崎町の古民家カフェガイド|路地が曲がっているのは、あぜ道と運河だったから

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梅田から北東へ10分ほど歩くと、高層ビルが途切れて木造の長屋が現れます。中崎町を訪ねた人がまず戸惑うのは、その先です。道がまっすぐでない。碁盤の目に慣れた大阪の中心部から来ると、方角の感覚が効かなくなります。

この曲がり方には理由があって、しかも街の成り立ちとつながっています。この記事では路地の形と店の集まり方をたどったうえで、そこに入った8軒のカフェを紹介します。料金や営業時間は変わるので本文では触れません。各店の店舗ページから最新の情報をご確認ください。

曲がった路地は、田んぼのあぜ道と運河

中崎町のあたりは、江戸時代には大坂の市街地の外側にある村でした。市街地になったのは1897年(明治30年)の大阪市第一次市域拡張で編入されてからで、田畑が住宅地に変わり、木造瓦屋根の長屋が建ち並んでいきます。いま路地に残るのは、その頃から大正期にかけての建物です。

このとき、道を新しく引き直しませんでした。もとからあった運河とあぜ道が、そのまま通りと路地に姿を変えたと、大阪ガス エネルギー・文化研究所の調査は説明しています。ゆるやかに曲がる通りをたどると、そこはかつて水が流れていた筋です。田んぼの境目を人が歩いた跡が、100年以上たったいまも道として残っている。中崎町で地図の直線感覚が効かないのは、そのためです。

まとめて開発されなかったのは、土地と建物の持ち主が別だったから

古い街並みが残っているだけなら、人が集まった時点で開発が入って消えるのが普通です。実際、アメリカ村や南船場、堀江といった大阪の他のエリアは、人が集まったあとに開発が進んで街の性格が変わりました。中崎町がそうならなかった理由を、大阪ガス エネルギー・文化研究所の山納洋さんはこう説明しています。「土地と建物の所有者が別であったことから一体的な開発が進みにくく、これまでは街並みは大きく変わることなく維持されてきました」。

地権者と家主が違えば、まとめて土地を買い上げてビルを建てる話がまとまりません。開発を防いだのは保存運動ではなく、この所有関係のねじれでした。皮肉な話ですが、いま私たちが長屋のカフェでコーヒーを飲めるのは、そのおかげです。

カフェの街になるまで

始まりは1995年です。阪神・淡路大震災で神戸から移ってきたデザイナーの宮久保忠広さんが、この街の古い倉庫を改造してデザイン事務所と画廊を構えました。梅田から近いのに賃料が安く、まだ誰も注目していない場所。その後、同じように空き家を借りて自分の店を始める人が続きます。

2001年7月26日には、パフォーマーの西尾純さんが築120年の長屋を「空き家再生パフォーマンス」として改装し、サロン・ド・アマント天人を開きました。壊した建材を選り分けて使い、材料を買わず、ごみを一切出さない。その工程を「これはパフォーマンスです、どうぞご覧ください」と書いて道に開いたところ、通りかかった住民が差し入れを持ってくるようになったと記録されています。

同じ2001年の10月には、古い家を再利用した22軒が集まって第1回の中崎町アートフェアが開かれました。2006年頃には界隈の店が100軒ほどにまで増え、その後も同じくらいの規模が保たれてきました。

この街の店が1軒ずつ違う顔をしているのには理由があります。昭和町や蒲生四丁目のように、長屋の改修と業種の選定をまとめて手がけるプロデューサーがいる街もありますが、中崎町では店主がそれぞれ自分で空間を見つけ、やりたいことを追いかけてきました。統一されたコンセプトがない代わりに、隣り合う店の落差が大きい。歩く楽しさはここから来ています。

長屋から始まった街のカフェ

サロン・ド・アマント天人

北区中崎西1-7-26。上に書いた築120年の長屋そのものです。2001年の開業以来、カフェであると同時に劇場や本屋を抱える場所として続いていて、中崎町の文化的な発信源のひとつになっています。建物の由来を知ってから座ると、床のきしみ方まで違って聞こえます。

店舗ページ:サロン・ド・アマント天人

89カフェ

北区中崎西1-9-3。読みは「エイトキュウカフェ」。公式が名乗っているのは絵本カフェで、絵本やおもちゃ、自由帳などが店のあちこちに300冊以上散りばめてあるとしています。似顔絵ケーキやサプライズケーキを手がけているので、誕生日や記念日に使われることの多い店です。

店舗ページ:89カフェ

うてな喫茶店

北区中崎西1-8-23。食べログの「喫茶店 百名店 2021」に選ばれた店です。中深煎りのブレンドとチーズケーキが看板で、街の雰囲気で選ばれる店が多いこのエリアでは、コーヒーそのものの評価で名前が挙がる1軒になります。

店舗ページ:うてな喫茶店

べーかりーかふぇ伊勢屋

北区中崎西4-1-1。町家を改装したベーカリーカフェです。焼きたてのパンを買って、その場で食べられます。

店舗ページ:べーかりーかふぇ伊勢屋

プリン専門 兎の杜

北区中崎3-2-6。2017年にレンタルカフェや移動販売でプリンを売り始めた店が、2020年4月に古民家を改装した実店舗を構えたものです。靴を脱いで上がる造りで、クラシックプリンをはじめとするプリンが並びます。移動販売の頃の屋号は「六花」でした。

うさぎカフェ

北区中崎西4-2-14。名前から動物カフェを想像しますが、公式が名乗っているのは「昭和レトロな古民家のお座敷純喫茶」です。看板うさぎが1羽いるものの客席とうさぎ部屋は分けられていて、抱いたり無理に触ったりすることは断られています。触れ合いが目当てなら別の店を探してください。名物は英国の菓子を独自に改良した「ふんわりスコーン」で、創業から3万7千個以上を手作りしてきたとしています。自分のうさぎを連れて入ることはできます。

店舗ページ:うさぎカフェ

もなか珈琲

北区中崎3-3-13。豆を焼いて売るコーヒーロースターに喫茶スペースが付いた形の店です。公式は「大阪・梅田の隣、中崎町にあるコーヒーロースターです」と名乗っています。飲んだ豆をそのまま買って帰れます。

店舗ページ:もなか珈琲

cafe太陽ノ塔 本店

北区中崎2-3-12。2002年8月に中崎町で始まった店で、いまや大阪各地に広がったこのカフェの1号店にあたります。公式は当時を「カフェ文化をここに築くと唱えても誰もが首を傾げる時代でもありました」と振り返っています。ただし建物は創業時のものではありません。2004年に家主の都合で同じエリアの大通り沿いへ移転しています。長屋ではなくビルの1階ですが、この街のカフェを語るときに外せない1軒です。

店舗ページ:cafe太陽ノ塔 本店

歩く前に知っておくと迷わないこと

「中崎町」という町名は、実は存在しません。大阪市の町名一覧にあるのは中崎一〜三丁目と中崎西一〜四丁目で、「中崎町」は大阪メトロ谷町線の駅名に由来する通称です。呼び慣わされている範囲にはこれらの丁目と万歳町が入ります。店の住所を見て「中崎町がない」と戸惑わないようにしてください。

道は狭く、迷路のように入り組んでいます。目的地を直線で目指さないのがこの街を歩くコツです。曲がった道の先に何があるか分からないまま角を折れる、その繰り返しになります。梅田から歩くか、谷町線の中崎町駅を使うのが確実です。東梅田から1駅です。

街の側にも案内があります。地元の店主やクリエイターが2018年に立ち上げた中崎町博覧会の実行委員会が、街歩きのマップづくりや清掃を続けています。

大阪へ泊まりで訪ねるなら、じゃらんnetで大阪府の宿を探す(広告)と、梅田から歩ける範囲で比べられます。ミナミ側なら難波・道頓堀のカフェ完全ガイド10選もどうぞ。

よくある質問(FAQ)

Q. なぜ中崎町は再開発されずに残っているのですか?

土地と建物の所有者が別だったため、まとめて買い上げる話がまとまりにくかったと説明されています。人が集まったあとに開発が入って性格が変わったアメリカ村や堀江とは、そこが違います。

Q. 中崎町は梅田から歩けますか?

歩けます。阪急梅田駅から北東へ徒歩10分ほどの距離です。大阪メトロ谷町線なら東梅田から1駅で中崎町駅です。

Q. 道が曲がっているのはなぜですか?

市街地になる前の田んぼのあぜ道と運河が、そのまま通りと路地になったからです。1897年に大阪市へ編入されて宅地化が進んだとき、道を引き直さずに元の地形を使いました。

Q. いつ行くのがいいですか?

個人店が中心で、定休日も営業時間も店ごとにばらばらです。何曜日が有利とは言い切れないので、行きたい店を2〜3軒決めてから、それぞれの店舗ページで営業日を確かめて日を選ぶのが確実です。

Q. うさぎカフェではうさぎと触れ合えますか?

触れ合いを目的とした店ではありません。看板うさぎはいますが客席とうさぎ部屋は分かれており、抱いたり無理に触ったりすることは断られています。飲食を楽しむ純喫茶として訪ねてください。

まとめ

中崎町の路地が曲がっているのは、田んぼのあぜ道と運河がそのまま道になったからです。その街並みが残ったのは、土地と建物の持ち主が別で再開発がまとまらなかったからでした。そこへ1995年以降、震災で移ってきた人や空き家を自力で直す人が1軒ずつ店を開き、2006年頃には100軒の街になりました。まとめ役がいないまま個人が集まってできた街なので、隣り合う店の性格がまるで違います。梅田で買い物をしたあと10分歩くだけで、あぜ道の形をした路地に出られる。その落差を歩きに行く街です。

参考サイト

  • https://www.og-cel.jp/column/1789294_15959.html | 大阪ガス エネルギー・文化研究所「街角をゆく Vol.17 中崎町」(山納洋、2025年)
  • https://www.og-cel.jp/search/__icsFiles/afieldfile/2009/09/08/412g020415a.pdf | 大阪ガス エネルギー・文化研究所「再生の実験タウン『中崎町』」(栗本智代、2002年)
  • https://www.city.osaka.lg.jp/shimin/page/0000061051.html | 大阪市「北区 町名一覧」
  • https://amanto.jp/ | サロン・ド・アマント天人 公式サイト
  • https://89cafe.com/ | 89カフェ 公式サイト
  • https://award.tabelog.com/hyakumeiten/kissaten/2021 | 食べログ「喫茶店 百名店 2021」
  • https://umeda.keizai.biz/headline/3132/ | 梅田経済新聞「中崎町にプリン専門店『兎の杜』」(2020年)
  • https://usa-cafe.com/ | うさぎカフェ 公式サイト
  • https://www.monacacoffee.com/about.html | もなか珈琲 公式サイト
  • https://taiyounotou.com/about/ | cafe太陽ノ塔 公式サイト(沿革)
  • https://nakazakicho.net/about | 中崎町博覧会


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