2026年の秋のお彼岸は9月20日から26日|「春はぼたもち、秋はおはぎ」を辞典で引くと「定説ではない」

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道ばたに彼岸花が目につきはじめると、秋のお彼岸です。2026年は9月20日(日)から26日(土)までの7日間。中日は9月23日(水)の秋分の日です。
お彼岸といえばおはぎ。そして「春はぼたもち、秋はおはぎ」という呼び分けの説明です。ところがこれを辞典で引いてみると、思っていたのと違うことが書かれていました。
お彼岸の日付は秋分日から決まる
彼岸の期間は、秋分日を中日(ちゅうにち)として、その前後3日ずつを合わせた7日間です。初日を彼岸入り、最終日を彼岸明けと呼びます。
2026年の秋分は、国立天文台が発表する暦要項で9月23日(水)9時5分と決まっています。太陽が黄経180度を通過する瞬間です。ここから逆算すると、
- 彼岸入り 9月20日(日)
- 中日 9月23日(水)=秋分の日
- 彼岸明け 9月26日(土)
秋分日は年によって9月22日や23日に動くので、彼岸の7日間も一緒に動きます。カレンダーに固定された日付ではなく、太陽の位置から毎年決まるものです。
ちなみに秋分の日が祝日である理由は、国民の祝日に関する法律の第2条に書かれています。条文はごく短く、「祖先をうやまい、なくなつた人々をしのぶ」。お彼岸にお墓参りをする習慣と、そのまま重なる一文です。
「彼岸」はもともと向こう岸のこと
彼岸という言葉は仏教から来ています。サンスクリット語のパーラミター(波羅蜜多)を漢語に訳した「到彼岸(とうひがん)」の略で、悟りの境地を指す言葉でした。いま自分がいる側が此岸(しがん)、向こう岸が彼岸です。
春と秋の行事という意味で使われた例は、平安時代の『蜻蛉日記』(974年ごろ)にすでに見つかります。さらにさかのぼると、806年に朝廷が全国の国分寺の僧へ、春分・秋分を中心とする7日間にお経を読むよう命じた記録があり、これが元になったとされています。
ただし当時それが「彼岸会」と呼ばれていたかどうかは分かっていません。事典もそこは断定を避けています。春分・秋分をはさんだ7日間という枠だけは、1200年前から変わっていないということになります。
「春はぼたもち、秋はおはぎ」を辞典で引いてみる
ここからが本題です。牡丹の花に見立てたのがぼたもち、萩の花に見立てたのがおはぎ。だから春はぼたもち、秋はおはぎ——という説明はよく見かけます。
花に見立てた名前であること自体は確かです。『日葡辞書』(1603〜04年)に「萩の花」という呼び名が載っていますし、全国和菓子協会も、粒あんの小豆が散る様子を萩の花に見立てた「萩の餅」を、宮中の女官が「おはぎ」と呼んだことに由来すると説明しています。
問題は季節の割り当てのほうです。小学館の『日本大百科全書』にはこう書かれています。
春の彼岸につくるものをぼた餅、秋の彼岸につくるものを萩の餅、おはぎと称したといわれる。また餡をつけたものがぼた餅、きな粉をまぶしたものはおはぎともいうが、いずれも定説ではなく、今日では春秋にかかわりなく、ぼた餅ともおはぎともよばれている。
「いずれも定説ではなく」。季節説も、あんときな粉で分ける説も、辞典自身が定説ではないと書いています。
『精選版 日本国語大辞典』はさらに踏み込んでいて、「おはぎ」を単に「牡丹餠(ぼたもち)のこと」と定義し、違いは季節ではなく「時代や地方によって違いがある」としています。全国和菓子協会の説明にも、春と秋で呼び分けるという記述は出てきません。
いちばん確からしいのは「地域と時代で違う」
呼び分けについて複数の資料が一致しているのは、季節でも、あんの種類でもなく、地域や時代による違いという説明です。きな粉をつけたものをおはぎと呼ぶ地方があり、作り方で呼び分けていた土地もある。江戸時代の方言辞書にも異なる呼び名が載っています。
よく見かける「春はこしあん、秋はつぶあん」という説明も、図書館が辞典を4冊当たって「あんこの種類のことは書いてなかった」と記録に残しています。広まってはいるものの、紙の辞典には見当たらない説です。
異名の面白さは別のところにあります。ぼたもちには「夜船」「北窓」「隣知らず」「奉加帳」といった呼び名があり、いずれも「搗(つ)く」にかけた言葉遊びです。餅と違って強く搗かないので、いつ搗いたか分からない。だから「いつ着いたか分からない夜の船」で夜船、「月知らず」を「搗き知らず」にかけて北窓。ただしこれらに季節が割り当てられていた形跡は、辞典類には見当たりません。
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よくある質問(FAQ)
Q. 2026年の秋のお彼岸はいつからいつまでですか?
9月20日(日)から9月26日(土)までの7日間です。中日は9月23日(水)の秋分の日にあたります。
Q. お彼岸の期間はどうやって決まるのですか?
秋分日を中日として、その前後3日ずつを加えた7日間です。秋分日は国立天文台が計算して毎年発表するため、年によって日付が動きます。
Q. おはぎとぼたもちの違いは何ですか?
季節で呼び分けるという説が広く知られていますが、『日本大百科全書』は「いずれも定説ではなく、今日では春秋にかかわりなく、ぼた餅ともおはぎともよばれている」と書いています。『精選版 日本国語大辞典』は、違いは時代や地方によるものとしています。
Q. 「彼岸」という言葉の意味は?
サンスクリット語のパーラミター(波羅蜜多)を訳した「到彼岸」の略で、悟りの境地を指す仏教の言葉です。いる側を此岸、向こう岸を彼岸と呼びます。
Q. なぜお彼岸に小豆を使ったものを供えるのですか?
小豆の赤い色が邪気を払うものとされてきたから、と農林水産省の資料などは説明しています。ただし出典が示されているわけではなく、断定できる由来ではありません。
まとめ
2026年の秋のお彼岸は9月20日から26日まで。秋分日の9月23日を中日に、前後3日を足した7日間です。おはぎとぼたもちの呼び分けは「春は牡丹、秋は萩」と説明されることが多いものの、辞典を引くと「定説ではない」と書かれていて、いちばん確からしいのは地域や時代による違いのほうでした。呼び名がひとつに決まらないまま、どちらの名前でも通じている。それだけ長く、あちこちで作られてきた食べものということかもしれません。
参考サイト
- https://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/yoko/2026/rekiyoko262.html | 国立天文台「令和8年(2026)暦要項」二十四節気および雑節
- https://laws.e-gov.go.jp/law/323AC1000000178 | e-Gov 法令検索「国民の祝日に関する法律」
- https://kotobank.jp/word/%E3%81%BC%E3%81%9F%E9%A4%85-1593621 | 小学館『日本大百科全書(ニッポニカ)』「ぼた餅」(コトバンク)
- https://kotobank.jp/word/%E5%BE%A1%E8%90%A9-453882 | 小学館『精選版 日本国語大辞典』「御萩」(コトバンク)
- https://kotobank.jp/word/%E5%BD%BC%E5%B2%B8 | 小学館『精選版 日本国語大辞典』/平凡社『改訂新版 世界大百科事典』「彼岸」(コトバンク)
- https://www.wagashi.or.jp/monogatari/shiru/yurai/ | 全国和菓子協会「和菓子の由来」
- https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?id=1000128604&page=ref_view | 国立国会図書館 レファレンス協同データベース(蒲郡市立図書館)
- https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?page=ref_view&id=1000160356 | 国立国会図書館 レファレンス協同データベース(岡山県立図書館)彼岸の由来
- https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/ohagi_kyoto.html | 農林水産省「うちの郷土料理」おはぎ(京都府)
