秋の虫が鳴くのは夜だけじゃない|キリギリスは昼、コオロギは昼も夜も。種類でこんなに違う

※本記事はアフィリエイト広告(PR)を含みます。
9月に入ると、夜の草むらから虫の声が聞こえるようになります。秋の虫といえば夜——と思いがちですが、京都府がまとめた鳴く虫の資料を見ると、昼に鳴く種と、昼も夜も鳴く種と、夜に鳴く種にきれいに分かれていました。
そして、いま東京の街で夜いちばん大きく聞こえている声は、たぶん子どものころに習ったどの虫でもありません。
鳴く時間帯は種類で決まっている
京都府の資料に載っている代表的な10種です。
| 虫 | 時期 | いる場所 | 鳴く時間帯 | 鳴き声 |
|---|---|---|---|---|
| キリギリス | 7〜9月 | 草の上 | 主に昼 | ギーッ・チョン |
| エンマコオロギ | 8〜10月 | 地表付近 | 昼夜とも | コロコロリー |
| ツヅレサセコオロギ | 8〜10月 | 地表付近 | 昼夜とも | リー・リー |
| カネタタキ | 8〜10月 | 木の上 | 昼夜とも | チン・チン |
| スズムシ | 8〜10月 | 地表付近 | 主に夜 | リーーン |
| マツムシ | 8〜10月 | 草の上 | 主に夜 | ピッ、ピリリ |
| カンタン | 8〜10月 | 草の上 | 主に夜 | ルルルル |
| クツワムシ | 8〜9月 | 草の上 | 主に夜 | ガシャガシャ |
| ハタケノウマオイ | 8〜9月 | 草の上 | 主に夜 | スィッチョ |
| アオマツムシ | 8〜10月 | 木の上 | 主に夜 | リュー・リュー |
昼間に草むらから「ギーッ・チョン」と聞こえたらキリギリス。コオロギの仲間は昼も鳴くので、日中の声を「まだセミかな」と思っていたら実はコオロギ、ということもあります。
鳴く種類の数がいちばん多くなるのは8月から9月。いま外で聞こえている音は、何種類もの声が重なった合唱です。
音の出し方は、セミとまったく違う
コオロギやキリギリスの仲間は、2枚の前ばねをこすり合わせて音を出します。片方のはねのぎざぎざした部分を、もう一方にすり当てる。バイオリンに近い仕組みです。
セミは違います。腹に「発音膜(ティンバル)」という厚い板があり、筋肉でこれをへこませたり戻したりして音を出す。しかもオスの腹はほとんど空洞なので、腹全体が共鳴して大きな音になります。擦って鳴らすか、板を鳴らすか——夏と秋で、音の作り方そのものが入れ替わっているわけです。
鳴くのは、多くの種でオスだけです。求愛や縄張りの主張のために鳴いていて、メスはそれを聞いています。
街路樹から降ってくる大きな声の正体
市街地で夜、街路樹の上から「リュー、リュー」と大きな声が降ってくることがあります。地面ではなく頭の上から聞こえるのが特徴で、これがアオマツムシです。
森林総合研究所の多摩森林科学園によれば、アオマツムシは明治ごろに渡来した外来種で、樹上で暮らし、市街地でごくふつうに見られます。日没直後によく鳴き、声が大きいうえに倍音を含むため、遠くまでよく通ります。
子どものころに覚えたスズムシやマツムシの声が街で聞こえにくいと感じるなら、探す場所が違うのかもしれません。スズムシやコオロギは地面の近く、アオマツムシは木の上。同じ夜でも、声の高さは文字どおり高さが違います。
「虫のこえ」の歌詞は、昔は違った
「あれ松虫が鳴いている」で始まる文部省唱歌「虫のこえ」は、1910年(明治43年)に小学校の音楽教科書に載りました。いま歌われている「きりきりきりきり こおろぎや」の部分は、当時は「きりぎりす」だったそうです。
虫の声を聴く習慣そのものは、もっと古くからあります。平安時代には嵯峨野などで声のよい虫を選んで宮中に献上する「虫撰(むしえらみ)」があり、江戸時代には庶民が野に出かける「虫聴き(むしきき)」が行われていました。俳諧で「虫」といえば、そのまま鳴く虫を指します。
ところで、鳴く回数から気温が分かるという「ドルベアの法則」を聞いたことがあるかもしれません。これは1897年にアメリカで発表されたもので、対象は北米にすむカンタンの仲間です。日本のエンマコオロギにそのまま当てはめられるものではありません。ただ、虫は変温動物なので、涼しくなるほど鳴くテンポがゆっくりになること自体は、小学校の理科の教材にもなっています。
声の主を確かめながら歩きたいなら、鳴く虫の図鑑をYahoo!ショッピングで探す(広告)という手もあります。
よくある質問(FAQ)
Q. 秋の虫はいつごろ鳴きますか?
種類によりますが、多くは8月から10月ごろです。鳴いている種類の数がもっとも多くなるのは8月から9月にかけてです。
Q. 昼に鳴いている虫は何ですか?
草の上で「ギーッ・チョン」と鳴くならキリギリスです。エンマコオロギ、ツヅレサセコオロギ、カネタタキは昼夜どちらでも鳴きます。
Q. 鳴くのはオスだけですか?
鳴く虫の多くはオスだけが鳴きます。求愛や縄張りを知らせるためで、はねをこすり合わせて音を出します。
Q. 街路樹の上から聞こえる大きな声は何の虫ですか?
アオマツムシの可能性が高いです。木の上で暮らす種で、市街地でも普通に見られ、日没直後によく鳴きます。明治ごろに日本へ入ってきた外来種です。
Q. セミと秋の虫では音の出し方が違うのですか?
違います。コオロギやキリギリスの仲間は前ばねをこすり合わせて鳴らしますが、セミは腹にある発音膜という板を筋肉で変形させて音を出します。
まとめ
秋の虫は夜だけのものではありません。キリギリスは主に昼、コオロギやカネタタキは昼夜どちらでも鳴き、スズムシやマツムシが夜に鳴きます。音の出し方も、はねをこすり合わせる秋の虫と、腹の板を鳴らすセミではまったく別のもの。そして街路樹から降ってくる大きな声は、明治ごろに入ってきたアオマツムシです。今夜、外の音に耳をすませてみると、いくつの高さから声が聞こえるでしょうか。
参考サイト
- https://www.pref.kyoto.jp/biodic/news/documents/nakumushi_a5.pdf | 京都府・きょうと生物多様性センター『京の虫の音ブックレット』(2025年8月)
- https://www.ffpri.go.jp/tmk/midokoro/tanhou/9september/aomatu.html | 森林総合研究所 多摩森林科学園「アオマツムシ」
- https://www.jstage.jst.go.jp/article/biophys/58/5/58_245/_pdf | 岩本裕之「大声を生み出すセミの原動機」『生物物理』58巻5号(2018年)
- https://www.kyoiku-shuppan.co.jp/textbook/shou/rika/files/4_10_koorogi.pdf | 教育出版 小学校理科4年 補助教材「コオロギとキリギリス」
