カフェラテとカプチーノは何が違う?|イタリアの規格が決めているのは泡の厚さではなく「牛乳が25%膨らむこと」

※本記事はアフィリエイト広告(PR)を含みます。
カフェラテとカプチーノは、どちらもエスプレッソに牛乳を合わせた飲み物です。違いを聞かれると、たいてい「カプチーノのほうが泡が多い」「ミルクと泡が半々」といった答えが返ってきます。
ところが、イタリアの認証規格を実際に読むと、泡の厚さについての数値はどこにも書かれていません。決められているのは、牛乳がどれだけ膨らむかのほうでした。
カプチーノの規格が決めているのは体積の増え方
イタリア国立エスプレッソ協会(INEI)は「Cappuccino Italiano Certificato」という認証規格を持っています。そこに書かれている作り方は、こうです。
- 認証エスプレッソ 25mL に、スチームした牛乳 100mL を注ぐ
- 牛乳は3〜5℃の冷たい状態から、蒸気で約125mLの体積・約55℃になるまで泡立てる
- カップの容量は 150〜160mL
- 牛乳は新鮮なもので、乳タンパク3.2%以上・乳脂肪3.5%以上
100mLの牛乳が125mLになる。つまり体積が25%増えるところまでが規格です。泡の厚さが何ミリだとか、ミルクと泡の比率がいくつだとか、そういう記述はありません。見た目については「白色で、褐色の縁が様々な厚みで縁取る」と書かれているだけです。
ついでに、土台になるエスプレッソのほうにも規格があります。粉7g±0.5、抽出ヘッドの湯温88℃±2、入水圧9bar±1、抽出時間25秒±5、そしてカップに入る量はクレマ込みで25mL±2.5。カップは白磁で、内側に装飾のない楕円形、容量50〜100mLが理想とされています。
ただし、これはイタリアの業界団体が定めた認証規格であって、国際標準ではありません。世界中の店がこれに従っているわけではない、という前提で読む必要があります。
カフェラテには、そもそも国際的な規格がない
ではカフェラテはどう定義されているのか。探すと、これが見つかりません。
イタリア語の辞典(トレッカーニ)で caffellatte を引くと、「コーヒーと牛乳からなる飲料。たいてい朝に朝食として飲む」とだけ書かれています。エスプレッソを使うという指定はありません。そもそも latte はイタリア語で「牛乳」そのものを指す語です。
スペシャルティコーヒー協会(SCA)が公開している規格の一覧にも、飲み物としてのカフェラテやカプチーノの定義はありません(エスプレッソマシンの仕様と試験法はあります)。
日本では、全日本コーヒー協会が淹れ方の目安を示しています。
- カフェ・オ・レ ドリップコーヒーとミルクを1:1(粉15g/湯120mL/牛乳100mL)
- カフェラテ エスプレッソとミルクを1:4(エスプレッソ30mL/牛乳120mL)
- カプチーノ ラテとの違いはミルクの泡立て方。厚みのあるフォームドミルクが特徴(エスプレッソ50mL/牛乳80mL)
これは規格ではなく、業界団体が示すレシピの一例です。カフェオレとカフェラテを分けているのは「抽出方法」で、これを言っているのは日本の資料のほう。イタリア語やフランス語の辞書は、そこで分けていません。
缶の世界では、カフェオレとカフェラテに区別がない
意外なのが、日本の缶・ペットボトルのルールです。「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」の施行規則は、こう定めています。
「ミルク入り」、「カフェ・オレ」、「カフェ・ラッテ」又はこれらに類するミルク入りを示す用語は、乳脂肪3パーセント以上及び無脂乳固形分8パーセント以上の成分を有する乳の製品がコーヒー飲料等の内容重量に対し5パーセント以上使用されている場合に限り表示することができる。
「カフェ・オレ」と「カフェ・ラッテ」が、同じ条件のもとに並べて書かれています。乳製品を5%以上使っているかどうかだけが基準で、抽出方法の区別はありません。
ただしこの規約が対象にしているのは「容器に密封した飲料」だけです。カフェで淹れる一杯には適用されません。缶の世界とカフェの世界では、そもそも別の物差しが動いています。
泡を作っているのは牛乳のタンパク質
もう一段さかのぼると、あの泡が何でできているのかも分かります。
乳製品の研究によると、牛乳の泡を安定させているのはタンパク質です。気泡の表面に厚く粘りのある膜を作って、泡がつぶれるのを防ぎます。いっぽう脂質は泡立ちを妨げる方向に働きます。INEIの規格が乳タンパク3.2%以上と指定しているのは、この性質を踏まえたものです。
温度も効きます。エスプレッソマシンのスチームで30〜80℃の範囲を試した研究では、最終温度の最適域は50〜60℃で、殺菌乳の全乳から作った泡がより安定したと報告されています。INEIの規格が指定する約55℃は、ちょうどこの範囲に収まります。
家でフォームドミルクを作ってみるなら、ミルクフォーマーをYahoo!ショッピングで探す(広告)という手もあります。
よくある質問(FAQ)
Q. カフェラテとカプチーノの違いは何ですか?
カプチーノにはイタリアの業界団体(INEI)の認証規格があり、エスプレッソ25mLに、100mLの牛乳を約125mLまで泡立てて注ぐと定められています。カフェラテには対応する国際的な規格がありません。日本の全日本コーヒー協会は、カプチーノの特徴を「厚みのあるフォームドミルク」と説明しています。
Q. カプチーノは「エスプレッソ・ミルク・泡が3分の1ずつ」ではないのですか?
その説明はよく見かけますが、INEIの規格文には書かれていません。規格が数値で定めているのは、エスプレッソ25mLに対して牛乳100mLを約125mLまで膨らませること、つまり体積が25%増えることです。
Q. カフェオレとカフェラテの違いは何ですか?
日本の全日本コーヒー協会は、カフェ・オ・レをドリップコーヒーとミルク1:1、カフェラテをエスプレッソとミルク1:4として説明しています。ただしイタリア語の辞典では caffellatte を「コーヒーと牛乳からなる飲料」と定義するだけで、抽出方法を指定していません。
Q. 缶コーヒーの「カフェオレ」と「カフェラテ」は違うものですか?
表示のルール上は区別がありません。公正競争規約の施行規則は、「カフェ・オレ」も「カフェ・ラッテ」も、乳製品が内容重量の5%以上使われている場合に表示できると同じ条件で定めています。
Q. ミルクの泡はどうやってできるのですか?
牛乳のタンパク質が気泡の表面に膜を作って泡を安定させます。逆に脂質は泡立ちを妨げます。スチームの最終温度は50〜60℃が最適域だと報告されています。
まとめ
カプチーノの規格が数値で決めているのは、エスプレッソ25mLに牛乳100mLを注ぐこと、その牛乳を約125mL・約55℃まで泡立てること。泡の厚さや「ミルクと泡が半々」は規格に書かれていません。カフェラテにはそもそも国際的な規格がなく、缶の世界ではカフェオレとカフェラテが同じ条件で扱われています。何で分けるかが、国と文書によって違う——それがこの2杯の関係のいちばん正確な説明です。
参考サイト
- https://iei.coffee/en/espresso-italiano-certificato/ | Istituto Nazionale Espresso Italiano「Espresso Italiano Certificato」
- https://olaszpresszo.hu/wp-content/uploads/2014/04/istituzionale_inei_hq_en.pdf | 同協会発行の技術資料(認証パラメータ一覧 DTP 008 Ed.1/エスプレッソ・カプチーノの規格値)
- https://sca.coffee/research/coffee-standards | Specialty Coffee Association「Coffee Standards」(公開規格の一覧)
- https://coffee.ajca.or.jp/column/4456/ | 全日本コーヒー協会(カフェ・オ・レ/カフェラテ/カプチーノの淹れ方)
- https://www.jfftc.org/DATA/Kiyaku_pdf/b03_H_cancoffee.pdf | 全国公正取引協議会連合会「コーヒー飲料等の表示に関する公正競争規約」および施行規則
- https://www.treccani.it/vocabolario/caffellatte/ | Treccani「caffellatte」(イタリア語辞典)
- https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1471-0307.2010.00629.x | Huppertz T. (2010) Foaming properties of milk, International Journal of Dairy Technology 63(4)
- https://www.sciencedirect.com/science/article/abs/pii/S0958694622001601 | Klimanova Y. ほか (2022) International Dairy Journal(スチームミルクの最適温度)
