10月10日は本当に晴れるのか|東京の30年で晴れは60.0%、「秋晴れの特異日」11月3日より高かった

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10月10日は晴れの特異日。そう聞いたことがある人は多いと思います。東京オリンピックの開会式がこの日だったことと結びつけて語られることも多い話です。
気象庁は、東京の1年365日について「その日が晴れだった割合」を30年分まとめて公開しています。数えれば確かめられます。結果は、10月10日の晴れは60.0%。10月の中では、10月28日と並んで上から2番目でした。ところが同じ表で、もっと有名な「秋晴れの特異日」を引くと、そちらは平均以下でした。
「特異日」は、前後の日と比べて決まる
特異日とは、ある気象状態が前後の日に比べてひときわ多く現れた実績のある日のことです。大事なのは「前後の日と比べて」という部分で、単にその日が晴れやすいだけでは足りません。周りの日より抜けている必要があります。
研究として取り上げたのは1930年代のドイツの気象学者シュマウスで、ドイツ語の Singularität(英語では singularity)と名づけました。日本では、もともと「異常日」と呼ばれていた言葉です。
ただし辞典は但し書きも添えています。その日が特異日だからといって、毎年同じ天気になるわけではありません。確率が高いというだけの話です。
東京の10月10日、晴れは60.0%
気象庁が出している「天気出現率」は、1991年1月1日から2020年12月31日までの30年分を日ごとに集計したものです(2月29日は省略)。晴れ・曇り・雨・雪の判定には決まりがあって、雪やみぞれなどを観測せず、1日の降水量が1.0ミリ未満で、日平均雲量が8.5未満のときが「晴れ」です。朝から晩までずっと青空、という意味ではありません。
10月5日から12日までを並べるとこうなります。
| 日付 | 晴れ | 雨 |
|---|---|---|
| 10月5日 | 16.7% | 43.3% |
| 10月6日 | 36.7% | 46.7% |
| 10月7日 | 33.3% | 43.3% |
| 10月8日 | 23.3% | 50.0% |
| 10月9日 | 50.0% | 43.3% |
| 10月10日 | 60.0% | 23.3% |
| 10月11日 | 43.3% | 26.7% |
| 10月12日 | 50.0% | 23.3% |
10月5日の16.7%から10月10日の60.0%まで、5日で43.3ポイント上がります。10月の31日間の平均は44.6%なので、10月10日はそれを15ポイント以上うわまわる。10月の中では10月30日の66.7%に次ぐ2番目(10月28日と同率)で、雨の少なさでも10月31日・10月30日に続く3番目(10月12日・10月27日と同率)です。
前後の日より抜けているか、という条件で見るかぎり、10月10日は特異日と呼んでよさそうです。言い伝えのほうが当たっていました。
ところが11月3日は、11月の平均より下だった
晴れの特異日として日本でいちばん有名なのは、おそらく11月3日です。文化の日は明治天皇の誕生日を祝う「明治節」だったので、この日は晴れる、と説明されてきました。
同じ表を引くと、11月3日の晴れは56.7%。悪い数字ではありません。ただ、11月の月平均が60.3%あります。11月3日は、その平均を下回っています。
同じ11月の中で、11月3日より晴れやすい日は16日あります。翌日の11月4日が70.0%、月内で最も高い11月16日は73.3%。前後の日より抜けているどころか、翌日のほうが13.3ポイント高い。特異日の条件からは外れます。
11月3日が晴れやすく感じるのは、その日が特別だからではなく、11月という月がまるごと晴れやすいからのようです。10月10日の60.0%は、11月ならほぼ平年並みの数字にすぎません。
言い伝えられた特異日を、30年分で並べてみる
辞典が特異日の例として挙げている日を、同じ表で引いてみました。10月10日はここに入っていません(この日について辞典が書いていることは、あとで出てきます)。
| 日付 | 辞典の説明 | 晴れ | 30年分で引くと |
|---|---|---|---|
| 1月3日 | 一年中で最も晴天率が高い | 90.0% | 2番目。1位は12月24日の93.3% |
| 1月16日 | 晴れ | 66.7% | 前日15日のほうが高い(73.3%) |
| 3月14日 | 晴れ | 63.3% | 前後より高い(13日56.7%・15日60.0%) |
| 6月28日 | 悪天 | 16.7% | 当たり(雨40.0%・曇り43.3%) |
| 10月17日 | 晴れ | 33.3% | 外れ(雨40.0%のほうが多い) |
| 11月3日 | 秋晴れ | 56.7% | 11月の平均60.3%を下回る |
6月28日より晴れにくい日は、1年でわずか4日しかありませんでした。悪天の特異日という言い伝えは、30年たっても生きています。
逆に10月17日は、晴れよりも雨の出現率のほうが高い。1月3日も、辞典の言うとおり1年で指折りの晴天日ではありますが、1991〜2020年の統計では12月24日の93.3%に抜かれて2番目です。言い伝えの中には、統計期間が変わると順位が動いたり、消えてしまったりするものもある、ということです。
晴れという一点だけで言えば、秋よりも真冬のほうがずっと強い。10月10日の60.0%より晴れやすい日は、1年のうち102日あります。
開会式の日は、気象統計で選ばれていた
ここまで晴れの話をしてきましたが、10月10日が祝日になった経緯も見ておきます。順番は、多くの人が思っているのとは逆かもしれません。
世界大百科事典によれば、1964年の東京オリンピックでは長年の気象統計をもとに、10月10日には秋の長雨が終わることが多いことから、この日が開会日に選ばれたとされています。つまり天気を見て開会式の日が決まり、そのあとで祝日がその日に置かれました。
祝日になったのは1966年(昭和41年)の祝日法改正で、名前は「体育の日」でした。政府の説明では、1961年(昭和36年)に制定されたスポーツ振興法で10月の第1土曜日が「スポーツの日」とされていたことを尊重し、あわせて1964年(昭和39年)の東京オリンピックを記念して、その開会式の日が選ばれたものです。祝日そのものを決めた理由として挙がっているのは、この2つであって、天気ではありません。
その後、体育の日は2度動きました。1998年(平成10年)の改正で2000年から10月の第2月曜日になり、2018年(平成30年)の改正で2020年から名称が「スポーツの日」に変わりました。趣旨も「スポーツにしたしみ、健康な心身をつちかう」から「スポーツを楽しみ、他者を尊重する精神を培うとともに、健康で活力ある社会の実現を願う」に改められています。
そういうわけで、2026年のスポーツの日は10月12日(月)です。2027年は10月11日。10月10日が祝日になるのは第2月曜日がその日に当たる年だけで、直近では2022年がそうでした。
よくある質問(FAQ)
Q. 特異日とは何ですか?
ある気象状態が、前後の日に比べてひときわ多く現れた実績のある日のことです。1930年代にドイツの気象学者シュマウスが研究し、Singularität と名づけました。日本ではかつて「異常日」と呼ばれていました。
Q. 10月10日は本当に晴れの特異日ですか?
1991〜2020年の東京のデータで見るかぎり、条件を満たしています。晴れの出現率は60.0%で、10月の平均44.6%を大きくうわまわり、前後の日(10月9日50.0%、10月11日43.3%)よりも高い数字です。
Q. 10月10日は必ず晴れますか?
いいえ。60.0%は「10年のうち6年は晴れ」という意味で、裏を返せば4年は晴れません。雨の出現率も23.3%あります。辞典にも「特異日だからといって毎年同じ天気になるわけではない」と書かれています。
Q. 気象庁がいう「晴れ」はどういう状態ですか?
雪・みぞれ・霧雪・細氷・ふぶきを観測せず、1日の降水量が1.0ミリ未満で、日平均雲量が8.5未満の日です。雲がまったくない日という意味ではなく、空の85%以上が雲に覆われていなければ晴れに入ります。
Q. 2026年のスポーツの日はいつですか?
10月12日(月)です。2000年から10月の第2月曜日になり、2020年に「体育の日」から「スポーツの日」へ名称が変わりました。
Q. 東京で1年でいちばん晴れやすい日は?
1991〜2020年の統計では12月24日の93.3%です。次が1月3日の90.0%。晴れの出現率だけで見ると、冬の東京は秋よりもよく晴れます。
とはいえ10年に4年は晴れない日なので、お出かけの予定を立てるなら折りたたみ傘をYahoo!ショッピングで探せます。10月は雨の出現率が平均34.0%あり、朝の空だけでは決めきれない月です。
まとめ
東京の10月10日は、30年の統計で晴れの出現率60.0%。10月の平均44.6%を大きくうわまわり、前後の日よりも高い。「晴れの特異日」という言い伝えは、数字の上でも生きていました。意外だったのは、もっと有名な11月3日のほうです。56.7%という数字は11月の月平均60.3%を下回り、同じ月には11月3日より晴れやすい日が16日ありました。文化の日が晴れやすく感じるのは、その日が特別だからではなく、11月という月がまるごと晴れやすいからのようです。ただし60.0%は、10年に4年は晴れないという意味でもあります。傘を置いていくかどうかは、当日の予報で決めてください。
参考サイト
- https://www.data.jma.go.jp/tokyo/shosai/chiiki/tenki/47662tokyo.html | 気象庁 東京管区気象台「東京の天気の出現率」(1991年1月1日〜2020年12月31日の30年間・2月29日は省略)
- https://kotobank.jp/word/%E7%89%B9%E7%95%B0%E6%97%A5-104657 | コトバンク「特異日」(日本大百科全書・世界大百科事典・ブリタニカ国際大百科事典ほか)
- https://www.gov-online.go.jp/article/202112/entry-9910.html | 政府広報オンライン「知っているようで知らない『国民の祝日』」(体育の日・スポーツの日の経緯)
- https://www8.cao.go.jp/chosei/shukujitsu/gaiyou.html | 内閣府「国民の祝日について」(2026年・2027年の祝日一覧)
