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昼寝の前にコーヒーを飲むと、起きたあとがすっきりする?|「コーヒーナップ」を試した2つの実験

公開: 2026/10/04
昼寝の前にコーヒーを飲むと、起きたあとがすっきりする?|「コーヒーナップ」を試した2つの実験

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お昼を食べて作業に戻ると、だんだんまぶたが重くなってくる。コーヒーを飲んで乗り切るか、少しだけ眠るか、迷う時間です。この2つを続けて行う「コーヒーナップ」という方法があります。仮眠の直前にコーヒーを飲み、短く眠ってから起きるというものです。

この記事では、コーヒーナップを試した1997年と2003年の2つの実験で何が分かったのかを紹介し、厚生労働省が示している昼寝とカフェインの目安と合わせて、試すときの注意点をまとめます。

コーヒーナップは「先に飲んでから眠る」

コーヒーに含まれるカフェインは、飲んだ瞬間に効くわけではありません。欧州食品安全機関(EFSA)の評価書は、カフェインは口から摂ると速やかにすべて吸収され、血液中の濃度がいちばん高くなるのは飲んでから30分から120分後だとしています。

そこで、飲んですぐに眠ってしまい、カフェインが体に回るあいだを仮眠にあてる、というのがコーヒーナップの考え方です。厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」も、夜勤のある人の仮眠について書いた項で、次のような報告があると紹介しています。

コーヒーなどでカフェインを摂取してから仮眠を開始すると、カフェインの覚醒効果により仮眠後の覚醒が容易になるとともに、睡眠慣性も生じにくくなるとの報告があります

「睡眠慣性」は、眠りから覚めたあとにしばらく頭がぼんやりする状態のことです。仮眠のあとの「起きたけれどまだ眠い」を減らせる、というのが期待されている効果です。

実験1:運転シミュレーターで、眠気によるミスが減った(1997年)

最初に紹介するのは、睡眠研究者のレイナーとホーンが1997年に学術誌「Psychophysiology」に発表した実験です。対象は眠気のある12人で、30分の休憩のあいだにカフェインと短い仮眠をとってもらい、そのあと車の運転シミュレーターで2時間、単調な午後のドライブを続けてもらいました。

比べたのは、次の3つの条件です。

  • カフェイン+仮眠(コーヒーナップにあたる)
  • カフェインだけ(カフェイン200ミリグラム、仮眠なし)
  • プラセボ(カフェインの入っていないものを飲み、仮眠なし)

プラセボのときは、午後の半ばに眠気がピークを迎え、運転のミスも増えました。カフェインだけでもこのピークは小さくなりましたが、カフェインと仮眠を組み合わせると、ピークそのものが見られなくなりました。ミスの件数は、プラセボのときを100とすると、カフェインだけでは34、組み合わせでは9でした。組み合わせたときのミスは、カフェインだけのときの約4分の1です(34と9から編集部で計算)。

もう1つ、気が楽になる結果も報告されています。仮眠のつもりでも眠りに入らず、うとうとしただけで終わった人にも、効果があったというのです。

実験2:仮眠のあとの眠気と作業成績がいちばん良かった(2003年)

2つ目は、広島大学の研究グループが2003年に学術誌「Clinical Neurophysiology」に発表した実験です。健康な若い成人10人に、昼の12時40分から20分の仮眠をとってもらい、その前後にパソコンでの課題を行ってもらいました。条件は5つあります。

  • 仮眠だけ
  • カフェイン200ミリグラムを摂ってから仮眠
  • 仮眠の直後に明るい光(2000ルクス)を1分浴びる
  • 仮眠の直後に顔を洗う
  • 仮眠をとらずに休むだけ

いちばん効果が大きかったのは、カフェインを摂ってから仮眠をとる条件でした。自分で感じる眠気も課題の成績も最も良く、その効果は仮眠のあと1時間続いています。明るい光を浴びる条件も、課題の成績を除けば同じくらいの効果がありました。顔を洗う条件は、効果が小さく一時的でしたが、起きた直後の眠気はおさえていました。

コーヒーが手元にないときは、起きてすぐ明るい光を浴びたり、顔を洗ったりするのも手です。ただし、実験で使ったのは2000ルクスの明るい光でした。

200ミリグラムは、コーヒーにするとどのくらい?

2003年の実験では、カフェインを200ミリグラム使っています。1997年の実験でも、カフェインだけの条件は200ミリグラムでした。農林水産省が日本食品標準成分表から紹介している値では、粉10グラムに熱湯150ミリリットルで淹れたコーヒーは、100ミリリットルあたり60ミリグラムのカフェインを含みます。150ミリリットルのカップなら1杯で約90ミリグラムなので(編集部で計算)、200ミリグラムは2杯分を少し超える量です。

実験から言えること、言えないこと

2つの実験は、どちらも「カフェインと仮眠を組み合わせると、仮眠のあとの眠気が減った」という同じ方向の結果を出しています。ただし、読むときに気をつけたい点もあります。

  • 人数が少ない 1997年の実験は12人、2003年の実験は10人です
  • 場面が限られている 1997年の実験は運転シミュレーターでのミスを数えたもので、デスクワークの眠気をそのまま測ったわけではありません
  • コーヒーだけが特別とは言えない 2003年の実験では、明るい光を浴びる方法にも近い効果がありました

「これさえすれば午後の眠気が消える」というより、「仮眠をとるなら、その前にコーヒーを飲んでおくと起きたあとが楽になりやすい」くらいに受け取るのがよさそうです。

試すなら、昼寝は午後の早い時間に30分以内

昼寝の長さと時間帯については、厚生労働省が2014年にまとめた「健康づくりのための睡眠指針2014」に目安があります。

午後の早い時刻に 30 分以内の短い昼寝をすることが、眠気による作業能率の改善に効果的です。

同じ指針の解説は、必要以上に長く寝すぎると目覚めが悪くなる(睡眠慣性が生じる)ため、30分以内の仮眠が望ましいとしています。2003年の実験の仮眠も20分でした。

カフェインの側にも目安があります。「健康づくりのための睡眠ガイド2023」によると、日本人の血液中のカフェインが半分に減るまでには3〜7時間かかります。夕方にコーヒーナップをすると、夜の眠りに響くおそれがあります。寝る時刻から逆算する考え方はカフェインは寝る9時間前でも眠りに響くで詳しく書いています。

試すときのポイントをまとめると、次のとおりです。

  • 飲むのは仮眠の直前 飲み終えたらすぐに目を閉じる
  • 眠るのは30分以内 アラームをかけておく。2003年の実験の仮眠は20分でした
  • 時間帯は午後の早い時刻 夕方以降は夜の眠りに響きやすい
  • 1日の量に気をつける 睡眠ガイド2023は、1日のカフェインの合計を400ミリグラムまでにするよう勧めていて、ドリップコーヒーなら珈琲カップ4杯分(700cc)が目安です。こどもや高齢者、妊娠中の人は、さらに減らすよう同じガイドが勧めています
  • 眠れなくても気にしない 1997年の実験では、うとうとしただけでも効果がありました

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よくある質問(FAQ)

Q. コーヒーナップとは何ですか?

仮眠の直前にコーヒーを飲み、短く眠ってから起きる方法です。カフェインが体に回るまでの時間を仮眠にあて、起きたあとの眠気を減らすことをねらっています。

Q. 何分くらい眠ればいいですか?

厚生労働省の睡眠指針2014は、午後の早い時刻に30分以内の昼寝を勧めています。長く眠りすぎると、起きたあとにかえってぼんやりしやすくなります。2003年の実験では20分の仮眠でした。

Q. 眠れなかったら意味がありませんか?

1997年の実験では、眠りに入らずうとうとしただけの人にも効果がありました。

Q. コーヒーのかわりにできることはありますか?

2003年の実験では、仮眠の直後に明るい光を1分浴びる方法にも、課題の成績を除けばカフェインと近い効果がありました。顔を洗う方法は効果が小さく一時的でしたが、起きた直後の眠気はおさえていました。

Q. 夕方にやってもいいですか?

おすすめしません。睡眠ガイド2023によると、カフェインが体の中で半分に減るまで3〜7時間かかるため、夕方以降に飲むと夜の眠りに響くおそれがあります。

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まとめ

コーヒーナップは、仮眠の直前にコーヒーを飲み、短く眠る方法です。1997年の実験では運転シミュレーターでのミスがカフェインだけのときの約4分の1になり、2003年の実験では仮眠のあとの眠気と作業成績がいちばん良くなりました。どちらも10人前後の小さな実験ですが、同じ方向の結果が出ています。試すなら、午後の早い時間に、30分以内で。午後の作業の前に、一度取り入れてみてはいかがでしょうか。

参考サイト

  • https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9401427/ | Reyner LA, Horne JA. Suppression of sleepiness in drivers: combination of caffeine with a short nap. Psychophysiology. 1997;34(6):721-725.
  • https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14652086/ | Hayashi M, Masuda A, Hori T. The alerting effects of caffeine, bright light and face washing after a short daytime nap. Clinical Neurophysiology. 2003;114(12):2268-2278.
  • https://www.mhlw.go.jp/content/001305530.pdf | 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
  • https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000047221.pdf | 厚生労働省「健康づくりのための睡眠指針2014」
  • https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html | 農林水産省「カフェインの過剰摂取について」
  • https://www.efsa.europa.eu/sites/default/files/consultation/150115.pdf | 欧州食品安全機関(EFSA)「Scientific Opinion on the safety of caffeine」(パブリックコメント版)


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